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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

男組のパワー炸裂『河内の次郎長』劇団昴星@梅田呉服座2月19日昼の部

大和みずほ座長とお兄様の一也さんは長年伍代孝雄劇団に所属されていた。さすが「芝居の伍代」の継承者の面目躍如だった。加えて、ご本人も男性座員も全員がとにかく若い。みずほ座長は三十代後半、お兄様の一也さんが四十代後半。そこに三十歳になったばかりの義明さんが続く。ちょっと離れて二十代前半の若手三人、拓矢さん、倫大朗さん、龍さんが続く。この日は女性座員さんの出演がなくて、がっかりしたけれど、何人かはおられるはず。

『河内の次郎長』は初見のお芝居。大まかな筋は以下。

「河内の次郎長」と呼ばれるヤクザ一家親分の暴れ者の兄(みずほ)を持つ娘(義明)、一家に居候していた若い男(龍)と結ばれる。妹思いの兄が、この結婚を許すはずもないと、二人は駆け落ちを考える。しかし出奔直前に兄に見つかってしまう。兄は「妹を幸せにしてくれるなら」という条件で、結婚を許す。この男、実は大坂の大店の長男で、家出をしていた身。二人手を取り合って、親の元に帰ることになる。

 

1年あまり経過。男は隠居した父(一也)の商売を継いで、店の主人に収まっている。が、妻の兄との約束は反故にし、連日「寄り合い」と称して茶屋通い。次男(倫太郎)もフラフラした全く責任感のない男で、何かと兄嫁を苛めている。父のみが嫁の味方という、針の筵状態に妻はいる。

 

そこへこの不良長男に自分の妻を寝取られたと、ヤクザ男(拓矢)が殴り込みをかけてくる。次男、長男の嫁を嬲り、挙げ句の果てには隠居の父にまで殴りかかってくる。長男が帰ってきて、騒ぎは一層大きくなる。

 

妹が幸せかどうかを心配して大坂に出てきた兄、ちょうどこの場にきあわせる。散々このヤクザ者をいじり倒す。ここはみずほ座長と拓矢さんの二人芝居。喜劇。結局、長男は改悛、嫁を大事にすることを兄に誓う。次男も今までの仕打ちを嫁に詫びる。これを見届けて一安心した兄は、河内に帰ってゆく。

これほど多くの若手座員だと、チャラチャラした舞台になることが多く、今までうんざりした経験が多数ある。ところがこの劇団は違った。ちゃらくない。きちんと「芝居」ができる若手たち。その意味でも「男闘呼組」的。この特質が活かせれば、伸び代がいっぱいある劇団だと感じた。

この日は前々日がみずほ座長のお誕生日公演、前日が休みという日だった。そのせいか、客数は私が予想したより少なめ。ここまで実力がある劇団だから、今後関西での客数は伸びるだろう。