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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

座長、姫猿之助のアドリブ満載「劇団あやめ」の『浅間の喜太郎』@三和劇場 5月13日昼の部

それにしても、姫猿之助座長は喜劇に強い。

同種の芝居はいろいろな劇団で見てきている。親分殺しと仇討ち、それに親子名乗りが組み込まれたお芝居。おそらく九州系劇団の定番だと推察している。「劇団あやめ」版は、元の人情劇を一旦解体、そのあとでコメディに創りかえていた。

人情劇の中核になっているのは、親分殺しで終われの身になった喜太郎が、郷里の浅間に帰り、親不孝をしていた父(ここでは兄)に再会、そのあと曲折を経て父に赦しをもらうという設定。劇団により、重点の置き方が異なっていた。あやめ版は座長、猿之助が演じる兄のアドリブ満載の滑稽味が、ぐっと前に立ち上がるように芝居が作られていた。滑稽味が充満。ここまで崩していいの?のレベル。お腹を抱えて笑った。

ざっとあらすじを。

女グセの悪い親分(千鳥)は、今日も今日とて娘(阿国)に説教されているが、聞く耳を持たない。自分の代わりに兇状わらじを履いて旅に出た子分の妻、菊(ひよこ)に言い寄る。ここでの、千鳥さんのひよこさんいじりがおかしい。それにしても、千鳥さんが親分を演じる時点で、喜劇になっちゃうんですよね。何しろ、若い女性が親分役ですから。嫌がる菊を手篭めにしようとしたところを、子分の喜太郎に妨害される。小競り合いの中、親分を殺してしまった喜太郎。親分の娘が仇討ちをかけるのを予想、旅に出る。ここでのきららさんの決め台詞が可愛い。曰く、「つっかけワラジでめえります!」。

喜太郎の故郷、浅間では兄(猿之助)が家を守っている。追っ手の親分の娘がやってきて、」兄に喜太郎を出せと迫る。ここでの二人の「白鳥」、「鶴の恩返し」のアドリブ応酬もおかしい。座長の独断場。娘退場後も、客席に向けての一人語りのような、掛け合いのようなキャッチボールがある。すごい話術。喜太郎が六年前に村人の金を持逃げした後、やくざになっていることを嘆く。父と母はそれぞれ、糖尿病と痛風でこの世を去った。自分は二人の子供なので、「ハーフ」!その他、多彩なアドリブが続く。

喜太郎が帰ってくるが、「弟名乗り」を認めず追い返そうとする。ここでも座長の話術全開。父母の介護の様を面白おかしく語る。「揖保乃糸」、「古畑任三郎」モノマネ等々、手をかえ品をかえての一人芝居。挙げ句の果てには愛犬を奥から連れ出してくる。「さすが座長の犬、舞台ではいい声でなく」って、爆笑でした。

そこへ仇討ち娘がやってきて、喜太郎と鉢合わせ。喜太郎は一騎討ちを受ける。約束の場所にやってきた喜太郎、娘との立廻りで刀を落とされる。観念した喜太郎だが、菊から詳細を聞いていた娘は喜太郎を許すという。そして、兄との仲直りの方策を耳打ちする。

そこにやってきた兄。娘から「喜太郎は手足をバラバラにした上、川に投げ込んだ」と聞かされて、嘆く。それを見届けて、喜太郎が登場。二人を仲直りをさせた娘共々、堅気になることを兄に約束する。

ずっこけお笑い劇ではあったけれど、ここまでしっかりと筋を通したのは、ただあっぱれ!