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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

第二回新開地劇場開場記念公演<冬華祭>のチケット

一昨日、劇場でチケットを買いました。12月16日(木)に開催されます。

劇場のポスターにまだ空席があると貼り紙があったのです。花吹雪さんのアナウンスでは昼の部のみ少しあるということだったので、あきらめていました。良い席ではないのですが、とにかく普通の座席に座ってみれるので、よしとすべきでしょう。

いわゆる「座大」は観ないつもりだったのですが、これは別です。

花吹雪の春之丞さん、伍代孝雄さん、そして恋川純弥さん(今年は公演中なので出演がありませんが、白峯さん、純くんが来られます)という方たちは、こういう座大は出られないのです。

花吹雪の寿美英二責任者が先月の公演で、「うちの劇団は座大には出ない」とおっしゃったとき、そのポリシーに強い決意と劇団としてのプライドを感じて感激しました。確かに、寿美英二座長退任公演にも「親友」の千太郎さん、そしていまは引退されている美里英二さんのみがゲストでした。

伍代劇団も今月はお休みなので孝雄さん、一也さん、瑞穂さんが来られます。また、恋川純弥さんはご自分の公演をなによりも大切にされている、つまりご自分を見に来るお客さんを失望させないという主義の方なので、これまた座大にはほとんど出られません(去年は劇団がお休みだったので出演されました)。

こういう方たちが主要メンバーになってこの<冬華祭>を構成しているのです。良くないわけがないじゃないですか。きっと互いが足し算どころか掛け算の魅力を発揮されることでしょう。だから自分の「主義」をいっとき覆して、観に行きます。

この方たちの観客を何よりも大事にするという心構え、すばらしいとは思いませんか。だからこの方たちの公演に行ってがっかりすることはありませんでした。他劇団とは一線を画していました。座大にでられないのは他では津川竜さんですが、剣戟はる駒座も舞台から観客第一の精神が伝わってきました。

新開地劇場だけは森本オーナーが出演劇団を決めれると聞いたことがあります。真偽のほどは分かりませんが、もっともだと思わせるオーナーの鑑識眼です。この一年の出演劇団をみると、ほとんどが大衆演劇界トップに君臨する劇団です。とくに、劇団花吹雪、伍代孝雄劇団、そして恋川純弥劇団は群を抜いています。

ひんぱんに開催される座大や記念公演といったことは、ある意味やらざるをえないといった面があるのは分かります。でも、「なんとか会」とかいったグループを作って実際にやっていることいえば、「お互いの技をぶつけて切磋琢磨しあう、研鑽を積む」ということではなく、他の目的のためのような気がします。お目当ての役者さんめがけていそいそとやってきていたファンも、ある時から来なくなる可能性があります。

将来の大衆演劇のあり方とも関わる問題です。質を確保し、観客(一部の観客ではありません)を満足させるにはどうするべきなのかといった問題です。それでなくとも経営は大変でしょうし、ましてやこの不景気は深刻なブローに違いありません。でも、だからこそ、それが大事なのではないでしょうか。質が劣化すれば、即観客は見捨てるでしょうから。