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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

劇団花吹雪讃

今日は久しぶりに少し早く帰れたので、仕事の前に少しビデオを観ました。先月の劇団花吹雪公演のDVDなのですが、これについては前に言及しました。

2本のお芝居、どちらも好きなのですが、特に『お富与三郎』、何度見ても傑作です。何度観ても笑い転げてしまいます。春之丞さんのお富、これ以上はない配役ですね。可笑しいだけではなく、カワイさの極みなのです。春之丞さん、あなたはほんとうに「罪ツクリですよ(ナンカそんな歌、ありましたよね)。これじゃ、完全にトリコじゃありませんか。これから凹んでいるときにはこれを観ることにします。元気モリモリ(芝居の中の春之蒸さんの台詞です)になるのは間違いありません。

対する真之輔さん、彼のお芝居での間のとり方、まさに上方のお笑いのものです。それが身体の中にきちんと入り、ご自分のものになっているのです。この芝居の中でのお父様の京之介座長との掛け合い、絶妙です。また春之丞さんとの掛け合いも絶妙です。

愛之介さんの上方風の間のとり方、これも絶妙です。だから春之丞さんとの絡みも、より可笑しさが増すのでしょう。

また、特筆すべきは春之丞さんの舞踊の素晴らしさです。

第二部初めに「ドドンパ」を踊られたのですが、この軽妙な曲、案外曲者だと分かりました。ものすごい時間稽古をみなさんにつけられたのでしょうね。そしてご本人の踊り、ちょっとした首の傾げ方、身体のひねり方、すべて計算の上での振りなのですね。すばらしい!色気というより、とにかくウツクシイ。このすっきりとした立ち姿、美しいと同時に愛嬌にみちた笑顔、こういうのって反則です。このあとの春之丞さんの舞踊、「反則」だらけです。でも、こんなのこの私のつたないオマージュを読んでくださる方なら、すでにお分かりですよね。

これも対する真之輔さん、DVDでみると舞台で見たときよりも普通はアラが目立つものですが、DVDでみてその完成度の高さにびっくりしました。正統派的にきちんと踊られていて、それでいながら真之輔さんならではの工夫がみられます。それは去年の冬華祭のビデオでみたときにも感じました。「バンビーノ」を他劇団の花形さんたちと踊られているのですが、真之輔さんの切れのよさが際立っています。

最近とみに大衆演劇が厳しい状況だと聞きます。でも、人は見ごたえのある舞台にならよろこんでお金を払うと思います。先月の花吹雪公演がその証明です。