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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『下田港の暴れん坊』都若丸劇団@花園会館 1月18日昼の部

去年の7月にも観たお芝居。

ごく最近気づいたこと。それはお芝居の中のアドリブすら、計算されて配置されているという衝撃の事実。もちろん、多少の入れ替えはあるし、当意即妙のものもある。でもかなりの部分が計算済み。これは、ホント衝撃だった。このお芝居も、去年観た折とわずかに変わっていたものの、おおむね同じ。若丸座長を中心に会話が回るのだが、そのときどきで会話のオチの付け方が変わる。でも基本軸はまったく変わらない。これが分かったのは、若丸観劇歴十数年というIさんに頂いた、2008年に三吉演芸場で録画された都若丸劇団の『関東嵐』のDVDがきっかけ。今月8日、薬でかなりボォーとした状態で『関東嵐』を観たのだが、このDVDのおかげで芝居内容を思いだすことができた。それで、この「衝撃の事実」を知った。

 『下田港の暴れん坊』も去年観た折とほぼ同じ。千代丸が「千代」となっていた。それに、千代が拒絶する遊び人(座長)、私は「仙太郎」と表記したけど、「千太郎」の方がいいかも。この千太郎、もと侍なので、「二本差しの千太郎」という異名をとっている。

 もう一点今回「あれっ?」と思ったのが、千代丸のいた芸者置屋の名が「一文字屋」で、そこの女将が「おさい」という名であること。これ、先日歌舞伎で観た『仮名手本忠臣蔵』六段目に出て来る芸者置屋とその女将の名と同じなんですよね。そう連想しながらみると、一人の女を挟んでの二人の男という構図が同じなのが分かる。もっとも『仮名手本』では、千代ならぬおかるは、遊び人の由良之助に最後はなびくんですけどね。亭主、勘平の死後ではありますが。

 舞踊ショーは控えず。でもこれまた衝撃だったのが若丸座長の女形二種。ソロは白地にきらびやかなスパンコール刺繍のある豪華な打掛着物で踊られた。一瞬舞台が暗転したと思ったら、その打掛のフロント部にクロムハーツ・クロス(?)の電飾が!これ以上ないほどの派手で効果的な演出。色白のお顔に金髪が映える若丸座長がほんとに美しかった。これぞ大衆演劇のショーだと納得させるもの。まさに夢の世界。もう一つが女形座長中心の群舞。このときは全員が白着物。座長も白い着物なのだけど、裏地やら帯締めのブルーと赤が効果的に配されていた。さいごの人形振りでの決めにもやられました。

 超満員のお客さんたち。この昼だけで300人を超えていたとか。私はこの予約をけっこう早くに取ったのだが、それでも前から9列目という後列席だった。ということは、その段階ですでにその前の席すべてが埋まっていたということ。後ろから見るのも全体が見渡せ、人の反応もよく分かって、それなりにメリットはあった。