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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『人情深川流し』都若丸劇団@ぎふ葵劇場 5月13日

この演目は観たことがない。昼は若丸座長が、ひき逃げで亡くなった友人のお見送りに京都に出かけていて、帰りが開演ギリギリ。そこで、主要な役の一つをキャプテンが務めた。 義理の息子にちょっとしたたはずみで殺される父(カネの亡者という設定)の役である。 

座長はこの後、渡し場の船頭役で登場。散々悪い十手持ち(剛)をからかう。もうここは座長の独壇場。押したり引いたりの呼吸は天下一品。大いに観客を湧かせていた。迎え撃つ剛さんの手練れの受けも絶妙。久しぶりに若丸劇団の本領を魅せてもらった。ゲストの葵好太郎さんのいなせな親分も、実に堂に入ったものだった。

夜は座長が金貸しの父役と船頭役を兼務。若丸節が倍増、炸裂していた。お客さん、大喜び。最後の終わり方がもう一つスッキリしない終わり方なのだが、1時間という制約のなかでは、こういう終わり方の方が良い。下手に「オチ」をつけて、芝居全体をやすっぽくしなくて、ほっとした。

印象に残った舞踊曲は以下。

好太郎   「I LoveYou」       女形   しなやかな身体。

若丸     「サイレント・イブ 」   女形   シルバーの目も覚めんばかりの清楚/色気、この矛盾!

剛     「酔歌 」     立ち   さわやかな男の色気。客席まで降りて、踊ってくれた。

若丸   「あぐら酒」   立ち おそらくなくなった友人への鎮魂歌だったのだろう。胸打たれた。