okamehachimoku review

大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『命くれない』都若丸劇団 with 大川良太郎、葵好太郎各座長&九条かおりさん(ゲスト)@羅い舞座京橋劇場 3月20日夜の部

この日は二部構成、第一部がお芝居、第二部が舞踊ショーだった。お芝居、『命くれない』は初見。おおまかな筋は以下。

 芸者、お半(かおり)は思い人を探して、置屋のお抱え芸者をしている。そのお半に岡惚れしたのが長崎奉行東映の谷口さん)。置屋の女将(城太郎!さすがにお上手)、それに口入れ屋、円蔵(良太郎)と結託して、彼女をものにしようとしている。宴会の席で彼女を手篭めにしようとしたところ、逆に簪で手を傷つけられる。

 

 席を逃げ出したお半。茶店の前で立ち往生しているところを中にいた男(若丸)に招き入れられ、助けられる。驚いたことにその男こそ、彼女が探していたその人だった。名を半七という。彼は父の仇を探して江戸から長崎まで下って来ていたのだった。二人は再会を喜び合う。お半の口から、長崎奉行が自分の探している父の仇かもしれないと推測する半七。

 

 半七のもとに身を寄せているお半に、円蔵、女将を含む奉行一味の追っ手がかかる。円蔵と女将がお半を出せと迫るところへ、半七の庇護をしている土地の侠客(好太郎)がわりいって来て、お半の身請け代として二十両を女将に渡す。一旦はひきあげる円蔵と女将、そしてその一味。彼らの再来を予測して、土地の侠客はお半と半七をかくまうことに。

 

 奉行はお半を諦めきれず侠客の家に当りをつけ、そこお半がいることを確信する。一味を使ってお半を連れ出す。侠客の子分たち(ひかる、ゆかり)は殺され、帰宅した侠客も斬り殺される。帰ってきた半七はその惨状をみて嘆く。お半をとりかえすべく奉行一味の後を追った子分たち(剛、星矢)の後を彼も追う。

 

 円蔵は拐かした女を南蛮行きの船にのせ、売り飛ばす商売をして莫大な富を築いていたのだった。それに加担していたのが長崎奉行だった。ついに、奉行一味と半七たちの対決。圧倒的に奉行一味の優位。子分たちは斬り殺される。奉行と対峙した半七。江戸で与力をしていたのが、今や長崎奉行に出世した父の仇と確信する。二人の対決で奉行は斬って捨てられる。最後に残ったのが半七、円蔵、そしてお半。円蔵はなんと飛び道具を持っていて、半七を撃つ。そこへ飛び出して来たのがお半。弾に当たって崩れ折れる。半七も撃たれる。弾を使い果たした円蔵と半七との決戦。二人は相刺し違える。

 

 最後に残ったのは瀕死の半七とお半。二人はあの世で一緒になることを誓い合う。ここ、かなり重い場面のはずが、どこか明るさが。メロメロなド悲劇にならずに良かった。 

配役はさすが若丸さん、それぞれのゲストにぴたりとはまったものになっていた。良太郎さんはこういうワル役が案外いけるかも。かおりさんは初々しく可憐だった。好太郎さんもこういういなせな親分役ははまり役。若丸さんご本人もご自分のニンに合った「カッコいいヒーロー」役を選ばれていた。彼が登場するだけで、客席騒然。そちらもみごたえ、ききごたえがありました。