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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『下田夜話』浪花劇団(浪花新之介座長)千秋楽@梅南座2015年4月29日

遅れて、ミニショーは観れず。もちろん、この日は補助席もいっぱいの大入りで、席がないかと心配したけど、上手壁際の最後列補助席を確保できた。梅南座の「名物女将」さんが席を回られ、快適に観れる用腐心して下さる。小屋も規模が小さいけど、アットホームな雰囲気が充満している。

<お芝居>

お芝居のタイトルがあやふや。『下田夜話』?他劇団でも観たことのあるお芝居。

 

美しい芸者、お蔦(めだか)を身請けしようとした土地の親分仁平(龍子)、あっさりと振られてしまう。このときの置屋の主人を新之介さん。その受け答えがツボ。こういう場面でいつも思うのは、新之介さんがwittyなこと。ことばをこれおほど巧妙に操られるのは知的レベルが高い証拠。観客の一歩先を行っておられる。観客には空振りで通じないことが多く、残念。

 

親分が振られたのは、お蔦に源太(蛇々丸)という思い人がいたから。身請け代として大枚な金を呈示した仁平親分、あわやお蔦も親分に身請けされるかと思ったその時、源太の弟(しめじ)が割入り、身請けの金を主人に渡したのだ。腹の虫が納まらない親分。仕返しを企てる。しめじさん、こういう立ち役もお出来になるようになったのですね。挑戦させる座長もエライ。

 

晴れて源太と夫婦になったお蔦。彼女が湯に行った帰り、仁平の手下たちに勾引されそうになる。そこを救ったのが旅鴉(新之介)。手下たちを追っ払う。救ってもらったのに、礼も言わずに去ろうとするお蔦。旅鴉はそんな彼女に惚れ込み、一緒になれと迫る。ここでの二人の楽屋落ちも交えてのバトル、笑えました。新之介さんのめずらしい「下ネタ」にお客さんたち大喜び。絡み倒し暴走する新之介さんを、めだかさんは持て余し気味。

 

お蔦と源太の家。源太の弟が留守番をしている。そこへ仁平とその子分たちが乗り込んで来て、源太の弟を斬り殺す。源太が帰宅。無惨な姿の弟をみて仇討ちに飛び出そうとするが、瀕死の弟はそれを止める。息絶える弟。奥からお蔦が出て来る。お蔦が止めるのも聞かず、源太は飛び出して行く。

 

雨が激しく降り出す。雨宿りにお蔦の家に入って来る例の旅鴉。顔を見合わせ驚く二人。その旅鴉に夫の助太刀に行って欲しいと頼みこむお蔦。自分と一緒になったら、助太刀してもよいという旅鴉。仕方なく「一緒になる」と言うお蔦。そこで「三三九度」の盃の交換があります。新之介さんとめだかさんのやりとりが、楽屋落ちもあって、面白い。めだかさん、このときも少し持て余し気味。

 

助太刀に行く途中、仁平一家と対峙している源太に行き逢う。このとき、旅鴉はそれが助太刀をたのまれたお蔦の亭主とは気づかず。源太の顔をみて、自分の昔の兄弟分だと分かる。「人斬り」の異名をもつこの旅鴉(千太?)、源太を助けて仁平一家を斬って始末する。

 

先ほど三三九度をしたばかりの女のため、今から助っ人に行くという千太。「(時代遅れの?)きれいな女」だと自慢。ところが事情を話すうち、源太はそれが自分の女房のことだと分かる。驚く二人。ここからが、源太vs. 千太ならぬ蛇々丸vs. 新之介の心理合戦になる。これもなかなかの見応えがありました。千太は女房を譲るといって去って行く。

 

旅支度をしている千太のところにお蔦が駈けて来る。源太からの去り状をみせ、自分を連れて行ってくれという。そこへ源太もやってくる。三者三様の思惑が入り乱れ、最後は座長がおいしいところを持って行く寸法。二人の手と手をつなぎ合わせ、自分は退く。最後はカッコ良く決めて、去って行く千太ならぬ座長新之介。