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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『五条のたてひき』都若丸劇団@梅田呉服座 7月21日夜の部

このお芝居、以前に2回ばかりみているのに、記事にしていなかった。大筋は以下。

神社の境内。三下の亀吉(ゆかり)が息巻いている。若い娘たちが通りかかるが、「亀ちゃん、親分は?」と、この三下には興味がない様子。そこへ派手な紅の着物姿の好い男が登場。これが今をときめく「牛若の源太」親分(剛)。若衆姿の若い娘(京香)が飛び出して来て三下の亀吉とぶつかる。その娘の手を源太がねじ上げれば、なんとふところから亀の財布が。優しい親分は自分の財布をその娘に与え、亀吉には財布を返してやる。

二人が去ったあと、二人の三下(星矢、舞斗)登場。若衆姿の娘にもらった財布を渡せと迫る。「これは返すのだ」と拒否した娘、逃げて行く。

重蔵(城太郎)の茶店。さきほどの娘が逃げ込んで来る。「おせい、どうしたのだ」と尋ねる父の声も聞かず、中に逃げ込む。そこへ例の二人連れを含む七人の男達がやってきて、借りていた5両を返せと迫る。なんと利子がついて10両になっているという。しかもさきほどおせいに怪我をさせられたので、もう10両足して、合わせて20両返せという。返せないという重蔵を尻目におせいを引っぱって行く。

ところ変わり、さきほどの悪い三下たちの親分、弁慶五右衛門(若丸)宅。弁慶が奥から出て来る。禿げ頭に髭面。ここで客席爆笑。重蔵に20両を吹っかけたと子分たちから聞いた弁慶、子分たちを褒める。おせいを奥に連れて行かせる。

そこに牛若源太ならぬ、亀吉が押し入って来る。すぐさま外へ放り出される。続いて親分の源太が案内を請う。挨拶ぬきにしてくれと弁慶。源太は重蔵は親戚で、その借金を肩代わりしにきたという。そして10両を差し出す。承服しない弁慶とその子分たち。さっとドスを抜いた牛若源太、その切っ先を弁慶の首に当てる。しかたなく承服する弁慶。さらにおせいを返せとすごむ源太。しかたなく子分におせいを連れてこさせる。二人のやりとり、アドリブも混じり、可笑しかった。このあたりで、弁慶が実はあまり強くないことが観客にわかる仕掛け。おせいを亀吉に預け、弁慶やその子分を尻目にさっそうと帰ってゆく源太。

おさまらない弁慶。仕返しをするため、源太と亀吉、おせいを待ち伏せる。手下たちは今まで出入りをしたことがないと不安がる。ドスの使い方の稽古をしてやるという弁慶。ここからが、最大のハイライト部。珍妙な訓練。前にみたときとほとんど同じでした。この日は東映からお二人の助っ人。よりいっそうにぎやかでした。この訓練の〆はジャッキー・チェンの「プロジェクトA2のマーチ」!笑い転げました。

源太たちがやって来る。稽古の甲斐もなくあっさりと斬り捨てられる子分たち。隠れていた弁慶、仕方なく出て来て源太と闘うが、負けてしまう。お気の毒。

というわけで、おせいは無事戻り、父の重蔵も借金を払わなくても良くなった。めでたし、めでたし!

 以下、舞踊ショーです。

第1部
若丸   立ち    転がる石
他の人が踊る「転がる石」とはひと味もふた味も違った独自の魅力。参りました。

第3部
田原坂
何度もみているのに、そのたびに凛々しさに感動。

若丸  女形     昭和最後の秋のこと
黄土色地の着物。ちらり見える裏に紅葉柄。ゴールドの帯も紅葉柄。しっとりとした中に可愛さが。ステキでした。

星矢         南部蝉しぐれ
黒着物に白帯で。なんとも上手い!

ゆかり   立ち    大江戸喧嘩花

若丸    立ち    群青

キャプテン       傘ん中

ラスト        晴れ舞台