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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『三下剣法』都若丸劇団@梅田呉服座 7月15日昼の部

昼でトリプルの大入り。満員。補助席も満席。

お芝居は『三下剣法』で、4回目になるのに、このブログ記事にしたのはずっと以前の一回のみ。それもあらすじを書いていなかった。というわけで、おおまかな筋を以下に残しておく。固有名詞は控えていなかったので、思いだすもののみ。

一つ土地に二つのやくざの一家となると、当然争いが起きる。そのうちの悪い親分(剛)はもう一つを乗っ取ろうと謀っている。良い一家の代貸(舞斗)にそれを持ちかけるが、あっさりと断られる。怒った悪い親分、その代貸を子分に斬りつけさせる。瀕死の重傷ながらもなんとかその場を逃れ、一家に戻ろうとする代貸

 

一方良い親分(城太郎)宅。親分は病気だが、娘(京香)の篤い看病を受け、この日は気分が良いと起きている。そこに「お前にはやくざには向かないから、郷里に帰って百姓をしろ」と金子を持たせ帰した三下の松(若丸)が舞い戻って来る。母親に追いかえされたのだという。下働きをさせようと、再び一家に置くことにする。よろこぶ松。食事をしようと奥に引っ込んだところに、悪い親分が子分を連れてやってくる。娘を嫁に欲しいというが、断られる。この悪い親分、待ってましたとばかりに良い一家の者を惨殺する。

 

悪い親分は奥にいた娘を無理矢理勾引して行く。戸口を出ようとしたとき、松が這って奥から出て来たのをみとがめ、子分の熊にあとの見張りを頼んで、一家に帰って行く。松は虫の息の親分からドスを預けられるが、なんとか言い繕ってドスを手に取らない。親分は松にドスの柄を握らせ、剣先で自らの腹を突き、さらには首の動脈を斬って果てる。「真の男の死に様をみせてやる。お前も男になれ」といい遺して。

 

見張りの熊が戸口から入って来る。それをなんとか避けようとしたはずみに、松は熊が抜いたドスで熊を返り討ちにしてしまう。ここの呼吸はすごかった。

 

悪い親分が娘に自分のものになれと脅しをかけている。どうしても厭がるので樹にくくりつけることにする。そこへ松がやってくる。ここからが若丸さんの本領発揮。剛さんも負けていません。二人のこのかけあい、アドリブ部分が多く聴く度に細部がかなり替わっている。とにかく抱腹絶倒。客席大湧き。笑いの大波が起きているようだった。今日はいやがる剛さんをむりに引き込んで「あっちむいてほい」ごっこをします。顛末は省きます。

 

悪い親分、「もう手に負えない」と、松を追い帰そうとするが、いろいろな手を次から次へと考え出して、抵抗する松。親分もとうとう、根負けし、子分にその場を任せてしまう。勢いづいた松、三人の子分をどれもはずみと幸運で次々と斬り殺し(この呼吸も先ほどの熊殺しと同じく絶妙でした)、最後には親分も斬り殺す。「もうこういう殺しは沢山。郷里に帰って百姓をしよう」とその場を立ち去る松。うしろからお嬢さんの呼ぶ声。彼女の縄を解きそのまま行こうとする背後から、お嬢さんが「松、あなたのお嫁さんにしてちょうだい!」と呼びかける。このときの松の「うれし、はずかし」の所作が笑えます。「こわーい閻魔さまのような姑」が待っている」といっても怯まないお嬢さん。最後は松が彼女を抱きかかえてのめでたし、めでたしの大団円。