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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

「都若丸主催若手祭り」@羅い舞座京橋3月12日昼の部

お芝居は『月夜にさらばお鼠騒動』。

若丸座長によると、ずっと以前に大会等で出したことのある芝居だそう。構成が良く練られていたのは、若丸さんが再構成したためだと思われる。とてもよくできたお芝居だった。 

よく出来ていると感心したのは、この日のゲストの若手役者すべてをまんべんなく配した、それも無理なく配したものだったこと。9人のゲストをむらなくそれぞれのニンに合った役を割り当てるのは、けっこう大変だっただろう。詳しくは控えなかったので覚えている範囲で概要を。

 登場人物は三つのグループに分けられる。まず、火消しグループ。ここに舞斗さんが入っていることからも分かる通り、軸になるグループ。もう一つは悪代官グループ。最後の一つが目明かしグル―プ。

 とっくの昔に伝説になってしまっている鼠小僧が、再び江戸の町に現れたという事件が引き起こす騒動がテーマ。三つのグループの攻防戦がストーリーとして展開する。あの勘三郎の「野田版鼠小僧」を想起させる趣向。野田版の中では、鼠小僧が決して「正義の味方」なんてきれいごとで盗みをしていたのではないことを、ドタバタ喜劇風にみごとに舞台化していたけど、若丸版は「鼠小僧事件」の後日談的な内容になっている。鼠小僧が実は火消しの一人で、彼は世の中が少しも良くならないことに業を煮やして、鼠小僧を演じて(騙って)いる。実際には若いので、昔活躍した鼠小僧ではないことは一目瞭然。

 この男が義憤に燃えて、悪代官とそれにつるむ商人たちの裏をかこうと「活躍する」。ただあまりにも未熟で、ボロが出る。茶店の老主人(若丸)に諭されるが、結局は無理な「働き」でお縄になる。それを火消し仲間と茶店の主人(実は本当の鼠小僧)とで、助け出す。ここの若手総出の殺陣は見応えがありました。

 悪代官とその一味の商人たちは堅気の人に金を貸し、払えないとなると娘を勾引していた。娘たちは外国に売り飛ばされていたのだ。それによって、巨万の富を独占、蓄積していた。

 火消しと茶店主人とが代官宅に乗り込み、一味を斬って捨てる。茶店主人は自身の正体を告白する。痛み入るにわか鼠小僧。役人たちが踏込んでくるが、目明かしも奉行の正体が娘を勾引す悪者だと分かり、彼ら一味をしょっぴいて行く。