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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『晴れ姿千両役者』都若丸劇団@花園会館 1月15日昼の部

以前になんども見ている。一番最近の舞台(2014年11月)では、役者紀伊国屋をアキラさんが演り、イジリの部分がちょっと違っていた。

あらましはほとんど変わらず。以前に書いていなかった面白い箇所がいくつもあった。全部は無理なので、ほんの数例。

1)菊之丞の弟子中、松永さんの名前が以前と違ったような。曰く、「菊左衛門之丞松之臣」!

 2)「おこも連合会長」(若丸)が菊之丞宅を訪れ、菊之丞に中に招き入れられたときの台詞がいかにも若丸座長らしい。「座らしてもろてもエエノ?」。この外し方、絶妙。

 3)おこも連合会長と名乗るそのおこもの名が「物拾喰之助(ものひらいくいのすけ)」だとのこと。彼が手を挙げると、千や二千のおこもが集まってくるとか。「なんやったら、花園会館いっぱいにしよか」。菊之丞の一番弟子、菊之助(星矢)「そんなことしたら、臭なるやろ」。受けて、座長若丸、「そやから、体臭演劇!ゆうんや」。

 4)おこも連合会長が菊之丞に「カタメの盃」といって、酒を勧め、反対する弟子たちを尻目に菊之丞が呑む。会長すかさず曰く、「弟子にもやってくれ」。

5)会長が帰って行く。その戸口で菊之丞に向かって、「さすが、中村菊之丞。あんたは立派な役者や。けど、いくら偉ろなっても、奢り高ぶったらあかんで」。一呼吸置いて、「これ儂もいつもいわれるねん」。

6)菊之丞が退場する際、「まず、まず、まず、まず。まぁーず!」なんて声を掛けるところは、江戸歌舞伎モドキ。最後に剛菊之丞がカッコ良く決めます。台詞前半は書き留められなかったんですが、最後のフレーズ、「意地が男の松飾り」ナンての、決め台詞ですね。こういうところは、上方役者ではあるものの、「江戸前」です。

 

今日、改めて感心至極。剛さんの菊之丞、苛められても凛とした矜持を保っているサマ、泣けます。星矢さんの菊之助は今日は以前より数等グレードアップ。アドリブ部がすばらしかった。さらに、冒頭部の英樹さんのおこも。上手い!唸りました。

劇中、「あれ?」と何回か思った。新門辰五郎の露払いをする芸者陣の数が少なかった。いつもより人の数が少ない。その理由を座長が口上で説明された。インフルエンザで虎徹さん、ゆかりさんが倒れ、ゆきかさんも舞台に出ることが出来ず、京香さんは産休中。雅輝さんは辛うじて復帰。ということで、残った座員全員が、人数が少ない分の埋め合わせをするのにいつも以上のパワーを出していたのではないでしょうか。

でも心配です。このインフルエンザはかなり悪質。私が東京で会った方に言われたのは、「早くお医者さんに行って、タミフルを処方していただいたら」。高を括ってそうしなかったため、長引いてしまったのかも。ただタミフルも、ごく初期に服用しないと効果なしとのことだけど。