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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『親子草紙』都若丸劇団@朝日劇場 6月27日昼の部

初見のお芝居だった。九州系劇団で生き別れた親子の悲劇を描く「親子もの」をいやというほど観てきたので、この手の話には食傷気味。これも悲劇は悲劇だったけど、べったりしたお涙頂戴路線とは違っていた。観客の涙腺に訴える芝居は演じる側にはやり易いんでしょう。それって芸のないのを誤摩化すためとしか考えられない。残念ながら大衆演劇の劇団にはそれが多く、そのたびに「ここは二度と観ない」と思ったものである。九州系劇団で例外だったのは一劇団のみだった。

以下に芝居のあらすじを。

辰造は昔は錠前破りだったが、今は髪結として妻と生まれたばかりの娘との三人で幸せに暮らしていた。だが妻の産後の肥立ちが悪く、多額の医者代がかかっている。そのときに金蔵破りの手伝いをすれば二百両をやるという昔の仲間(城太郎)の口車に乗って、悪事に加担してしまう。だがそれは罠だった。二百両もらうどころか、役人に捕まってしまう。仲間が彼を売ったのだ。

 

役人に追われ赤ん坊の娘ともども死のうとしたところを、」通りがかりの口入れ屋、おしんという女に見咎められる。彼女に諭されて、娘は彼女に預けた上で自らは番所に名乗り出る。

 

18年経過。おしんは今ではうどん屋を営み、お美代を自分の娘として育てている。気だての良い娘になったお美代は岡っ引きの智(剛)と明日祝言をあげることになっている。智はお美代の身の上とその父親のことをおしんから聞き、船着き場に三宅島からの船が着いたら、辰造をうどん屋に寄越すと約束する。

 

うどん屋にやって来た辰造。代金がないので引き返そうとしたところをお美代が見つけ、店内に案内する。自分が初めてとった出汁の味見をかねてうどんを食べて欲しいのだという。うどんが出て来て、座長のひとこと。「これはどこかで食べた味、そう『どん兵衛』だ」(笑)。打掛けをみた辰造。お美代を祝福する。

 

おしんが出て来て、二人は18年振りに再会する。お美代に実の父が彼だと打ち明けるというおしんを、辰造は止める。奥で休むようにおしんに薦められ引っ込む辰造。

 

金貸しの金兵衛が借金の取り立てにやって来る。なんとそれは辰造を裏切った昔の仲間で、今やあくどい金貸しになっていた。おしんに借金を返せと迫る。おしん祝言の打掛代金を彼から借りていたのだ。待ってくれと泣いて懇願するおしんのを無視し、打掛を持ち去る。

 

奥から辰造が出て来る。おしんに金兵衛こそが自分を昔裏切った男だと告げ、出刃包丁をもって駆け出す。金兵衛に追いついた辰造、昔のよしみで打掛を返すようにというが、聞き入れない。手下に辰造を殺すようにと指図するが、みんな逆に殺される。どこまでも汚い金兵衛は六連発を出し辰造を撃つ。玉は辰造の腕に当たるが、辰造は金兵衛を出刃で殺す。

 

うどん屋へ打掛を持ち帰る辰造。そこへ智がやってきて、殺しがあり、その下手人を捕まえるのだという。祝言前に初めての手柄を挙げたいというのを聞いた辰造。自ら名乗りでる。仕方なく縄を打つ智。泣いてすがるおしんとお美代。

 

番所に連れて行かれる辰造の後ろ姿にそれが実の父と気づいたお美代が「おとうさん」と声をかける。抱き合う親娘。

大真面目な悲劇なんですよ。でもなんだかときどきオカシクなって、クスッと笑ってしまった。そんな不謹慎なのは私だけだったかもしれない。忘れないうちにアドリブをいくつか列挙?!

1)娘のお美代の花嫁衣裳の打掛けの柄(鶴)を吟味した辰造のひとこと。「ああ、ニワトリ(?!)ですね」。

2)お美代が「父親は彼女の生後間もなく亡くなった」と言うのを聞いて、「産後の肥立が悪くて?」。

3)お美代の結婚相手が彼を送ってくれた役人(剛)と聞いて、「あの背の高い。(お前さんの)首が疲れるでしょ」。

4)お美代を育ててくれたおしんがお美代の髪を結ってやってくれと頼んだのに対して、「俺が結ったら文金高島田ならぬ、『南京玉すだれ』になってしまうかも」!

 

以下、舞踊ショー内容。

第1部

虎徹     立ち    「Samurai Heart」

 

若丸    立ち    「春の奥津軽

淡い緑地に大胆、モダンな 濃いグリーン模様の着物。 曲名通り爽やか。

 

第3部

男性陣   「め組」のハッピで

 

秀樹   立ち    「雑草」

 

若丸  女形        「梅川忠兵衛」

 

ゆかり        「プライド」

 

京香・はるか・ゆきか 「ソーラン女節」

幟(?)をもっての舞踊。きれいに揃っていてすばらしかった!

 

剛   立ち    「忘れ雨」 

えんじがかった茶着物に茶の傘をもって。いなせ。

 

星矢  立ち      「思い出酔っ払い」

 

若丸  立ち    「黒猫 Adult Black Cat

マントをかぶり、舞台を駆け回り、客席にも降りての踊り。全身躍動感の塊!すごいリズム感。エネルギーの開放。

 

キャプテン  立ち  「男橋」

 

若丸  立ち     「さくら」

先ほどとは一転。扇子をもっての袴踊り。さきほどの開放したエネルギーを今度は裡に溜めて。そしてそれを決めで開放。

 

ラスト        「FUNK FUJIYAMA」

座長の前の舞踊に続けて。ザビエルルックの二人を除き男性は袴姿で。女性は(赤い?)着物姿で。そこに後からバカ殿姿、メイクの虎徹さん参戦。前に一度みたときも目が点だったけど、今回も同じ。笑い転げた。すばらしいアイデア虎徹さんも「期待」に応えて、思いっきり「派手」に演じておられました。