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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『純ーー愛する者たちへ』劇団大川@朝日劇場 2月6日夜

昨日はお昼に枚方で宝海劇団を観て、その足で、朝日劇場で劇団大川の舞台鑑賞です。自分でも「ようやるわ」と思いつつかけもちしてきました。京阪と地下鉄の連絡がよく、4時前には恵比美町駅に到着してしまいましたので、駅前の「いずみ」という喫茶店で夕食にオムライスを食べました。この喫茶店、去年12月に一心寺シアターに花吹雪を見に来たときにも、友人と二人で利用したのですが、この界隈にはめずらしく品のよい、そしてママさんの感じがとてもよい、ちょっとレトロな喫茶店です。とてもおいしい昔懐かしい「洋食やさん」のオムライスでした。

お芝居は、去年11月花吹雪で観たものと同じ出し物でした。タイトルは違っていて、『純−ー愛する者たちへ』というのです。花吹雪のタイトル、『男の人生』もなにかしっくりこないタイトルでしたが、このタイトルも芝居の内容とどう関係しているのかが、今ひとつ分かりません。

ともあれ、筋は花吹雪のところに書きましたので省略します。実はこの芝居、やくざではなく侍バージョンをたつみ演劇BOXでも観ています。これも、春之丞さんの熱演、好演と比肩できるほど、たつみさんも好演でした。

主演はもちろん椿裕二さん。そしてもう一人の主役、花吹雪では寿美さんが演られた悪賢い同輩(今気づいたのですが、これって『オセロ』のイヤーゴなんですね)は龍昇さんでした。ネチネチと虐めるイジメ方、本当に鳥肌が立つほどお上手でした。私、こういうの、ちょっと苦手です。サディストではないもののいたぶるシーンは嫌いではありませんが、こういう粘液質のものはダメなのです。でも、裕二さんはド派手に大げさに演じられたので、つまり外されたので、少しは正視できましたけど。

椿裕二さんもつれあいが褒めるだけのことはありました。エロキューションがいいのですね。それはお兄様(?)の龍昇さんにもいえることでしたが。歌舞伎俳優は一に声、二に声、三に声というくらい、声が大事な要素ですが、そういや上手い役者さん、例えば、伍代孝雄さん、桜春之丞さん、美麗さん、三河家桃太郎さん、皆さん声がいいですね。渋めの低い声です。

お芝居の基調はどちらかというと、ベタというかねっとりというか重めでした。花吹雪、たつみ演劇BOXでは感じなかった濃さがありました。私の好みとはかなりずれがありました。たまたまそれが強調される演目だったせいもあるでしょう。一回で判断するのはフェアではないですね。

舞踊ショー、龍昇さんはなんといってもカリスマ性が抜きん出ていました。この方の踊りをみるためにだけでも行く価値があるのじゃないかと思うほどでした。真芸座の矢島愛さんを思い出してしまったのですが、「ご親戚?」と聞きたくなるほど、容姿が似ておられます。

裕二さんの舞踊をみて、「同魂会」でお手本になっている方が分かりました。裕二さんなんですよね。哀川昇さん、美川麗士さん、お二人の歩き方、踊りの原型を裕二さんに見てしまいました。裕二さんがもちろん本家(?)だけあって、いちばん魅力的でしたけど。そして裕二さんがいちばんおっとりしておられました。きっと実生活でも穏やかな方なんじゃないか、そう思わせる懐の深さを感じさせる方でした。