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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『吉良の仁吉』劇団大川+劇団美山里美たかし座長、里美こうた若座長ゲスト @朝日劇場6月15日夜の部

お芝居、『吉良の仁吉』。
仁吉にたかしさん、その妻、お菊はこうたさん。お菊の兄で仁吉と荒神山の決闘で対決する穴太の徳次郎を龍昇さん。劇団大川座長の椿裕二さんは徳次郎一家の用心棒の浪人、そして副座長の大川忍さんは仁吉一家の子分、若手リーダーの舞川修さんは仁吉の弟分で徳次郎に縄張りを横奪される神戸の長吉役でした。あまりにも有名なお話なので、筋は割愛します。『吉良の仁吉』は他劇団でもみたことがありますが、今日観たバージョンは初めてでした。

市川市二郎さん(仁吉)と筑紫桃太郎さん(菊)の共演(競演)では喜劇になっていたので、今日の悲劇とはずいぶん印象が違いました。私としてはどちらかというと、喜劇の方が好きです。特に桃太郎頭取が市二郎さんをおんぶして走る場面の滑稽さは忘れられません。

でも、もともとは悲劇なのですから、こちらの方が正統なんですよね。たかし座長は妻思いの、そして仁義に厚い親分をこれ以上ないほど「かっこよく」演じ、またこうたさんは夫思いのけなげな美しい妻、菊をこれまたこれ以上ないほどはまり役で演じきり、観客の紅涙をさそっていました(というものの、大阪の「しぶとい」おばちゃんたちにこの「紅涙」という形容はあてはまらないかも)。

侠客が自らの妻を犠牲にしてまでも、義理を通すというところが本来の見せ場なんでしょうけど、たかしバージョン(椿バージョンでもあるのでしょうが)ではまだ一緒になって日も浅い相思相愛の夫と妻との悲劇的別れに軸足が置かれていました。おふたりが相思相愛を演じると、ホント説得力があるんですよね。たかしさんからはむんむんと男っ気が匂い立っていますし、こうたさんからは実の女以上の色気が立ちのぼっていますものね。ひさびさにこのお二人の「深い愛で結ばれた男女」という設定をみて、このおふたり息のあった演技にあらためて瞠目でした。

今日のゲストはつい最近になって知ったため、席も予約なしで行きました。とにかくすごい人で、補助席に座っていたら、開演前運良くその横の席が空き、座ることができました。トリプルの大入りでした!「たかし・こうたパワー」のすごさを思い知りました。私も一ヶ月以上ぶりでそのパワーのシャワーを浴びることができて、シアワセ。「今日来てホントに良かった!」って思ったものです。

以下、主たる舞踊です。

こうた 
 「 ? 」 女形。ブルーの美しい、夏らしい着物で。
椿    
 「シルエットロマンス」+「真夏夜の夢」女形。赤い着物、上手!
たかし 
 「肥後の盆歌」+「酒供養」女形。色っぽいというよりウルトラ級にかわいかった
龍昇   
 「夢日記女形。裾に金で豪華な刺繍の黒着物 涙を流しての熱演
こうた 
 「酔ってそうろう」女形。 歌舞伎役者絵の入った着物。とにかくきれい
椿    
 「三年待ち屋」立ち。ドラマが立ち上がってきました。名人芸
たかし 
 「冬ぼたん」立ち。傘をもって。着物には歌舞伎役者名、歌舞伎芝居名、八尾善等の文字が。なんという男の色気!
美穂裕子 
 「南国土佐を後にして」一点の狂いもないパーフェクトな踊り。
こうた 
  “It’s Show Time”立ち。長髪、黒着物、途中ぶっかえりで赤着物に
たかし 
  “LA・LA・LA LOVE SONG” 立ち。スパンコールの黒のスケスケ着物。客席、大興奮。
龍昇
 「白雲の城」立ち。凛としてステキでした。