okamehachimoku review

大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『花笠文治』伍代孝雄劇団@新開地劇場2010年10月30日

29、30日(千秋楽)と新開地の伍代孝雄劇団公演に行きました。とにかく素晴らしかった!伍代さんは今月までみる機会がなかったのですが、芝居は内容、構成、演出ともに今まで観た中で一番私の好みでした。旅芝居が「小歌舞伎」といわれた名残を最も残した劇団でした。新開地に年に2回乗る理由が納得できました。2回乗るのは他には純弥さんところだけですから、新開地の 森本オーナーにいかに高く評価されているかが分かりますね。そして森本オーナーの鑑識眼の高さも。


千秋楽はお花も座長にはんぱではなくつきましたが、彼は踊りが終わるまで舞台袖には出られませんでした。これにも感心しました。観客全体を大事にしている 心構えが伝わりました。この心意気に惚れ込みました。それと踊りに演歌がほとんどなかった。照明もぎらぎらではなくて上品でした。随所にさりげない斬新な 工夫が施されていて、これには舌を巻きました。それらが計算をし尽くしたものであるにもかかわらず、それを表には見せないのです。知的な計算が繊細さを生み出しているのです。知性と感性の融合とでもいうのでしょうか。これこそホントにジャパニーズ的です。

千秋楽のお芝居は『花笠文治』で、江戸歌舞伎の粋の片鱗をみせてくれました。助演の三河家諒さんもきらきら光っていました。花形の一也さん、瑞穂さんも手堅く安心してみていられる演技力で、しっかりと座長を支えていました。「旧くて新しい」という歌舞伎精神を具現化していました。今の歌舞伎を超えているかも。最近は10年以上はまっていた歌舞伎を観たいとは思わなくなっていたのですが、この劇団を観ていれば十分です。

「大人の劇団」とだれかが評していましたが、確かにうなずけます。九州系の劇団によくある芝居中のシモネタトークがまったくありませんでした。楽屋落ちはありましたが、それもカワイイものでした。

いちばんツボだったのは座長のぐずぐずした「おネエトーク」?でした。あれは地なのでしょうか。最初から最後まで笑い通しでした。