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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『子別れ三度笠』第二回開場記念公演@新開地劇場 2010年12月16日夜の部

お芝居は『子別れ三度笠』。
春之丞さんは準主役といったところ。旅人の銀二を演じられました。そこそこの出番でしたが、もっと欲しかったです。

親分の上総屋政五郎伍代孝雄さん)が旅に出ている間、代貸しの金五郎(恋川白峰さん)が親分の幼い息子政吉ともども留守を守っていた。しかし土地の親分赤羽大五郎(伍代一也さん)は無理難題のかけ放題。今日も今日とて用心棒の侍(龍美麗さん)と茶店の店先で金吉を虐めています。それを救ったのが旅人の銀二(春之丞さん)だった。金五郎は感謝しつつ帰ってゆく。

茶店の主人(影虎さん)から自分が救ったのが政五郎親分の代貸しと聞かされて、銀二は彼の後を追う。銀二を慕う鳥追い女(橘大五郎さん)といっしょに。実は銀二は、政五郎からの「自分は清水の次郎長のところに挨拶にゆくので帰りを少し遅らせる」という伝言を金五郎に先に伝えるために、先回りしてにその土地やって来ていたのだ。

親分宅で、銀二は金五郎から政吉を政五郎親分が逗留している次郎長のところまで送り届けるように依頼される。ところが政五郎は既に帰途についていた。というわけで、清水の次郎長宅と政五郎宅の間で、二回の行き違いがある。銀二はそのたび毎に政吉をつれて往復する。その間、留守宅では金五郎が赤羽大五郎に遂に殺されてしまう。

政五郎は金五郎の死骸を見つけるが、そこに赤羽一家が乗り込んできて、政五郎と立ち回りを演じる。しかし次郎長たちが政五郎のところに到着したときには、すでに政五郎はこときれていた。「惜しい男を失くした」と悲しむ次郎長で幕。

 お芝居の巧さでは、春之丞さん、孝雄さんが光っていました。

なにしろ上手の一番後ろの座席でしたので、観るのも大変でした。

みんなが「平等」に踊るため、時間の制限があったはずなのに、何人かの方がナガーク踊られました。約束違反ではないかと腹が立ちました。中にはそれぞれで2曲続けて踊った父子もいて、彼らが来年新開地に乗るときには絶対に観にくるものかと思ったほどです。

立ち、女形ともに春之丞さんのものが一番短かった。ちょっと残念でした。でも立ちではおなじみの客席から登場、観客サービス満点で、春之丞スマイルに癒された方も多かったと思います。

大五郎さんの女形、絶品でした。

孝雄さん、女形で技巧の粋を見せてくれました。瑞穂さん、一也さん、こうやって他劇団とならぶと「お上手」だということがよく分かりました。

というわけで、座大の利点を一つ見つけました。それは力量が衆目にさらされるということです。力の差は歴然としていました。

でも、「それを知ってどうした」という面もあります。こういう座大へ押しかけて「花付け競争」をするファンというのは役者の力量でそれをするわけではないでしょうから。

総じて九州勢は「もう一つ」の域でした。これは私が上方の人間だからでしょうが。粗さが目立ちました。あの洒脱の巧いお芝居、踊りを魅せてくれる三河家桃太郎さんも九州出身ですから、いちがいにいえないのかもしれ