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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『必殺仕事人』、LINK特別公演with 劇団九州男@羅い舞座京橋劇場8月8日夜の部

とにかく人、人、人。ただ、緊急地震警報が出ていたため、遅刻する人が多かった。ものすごい熱気。初日も8日の引き換え券を予約するのに来場、その流れで公演を見る人がいたので、470人収容という会場がほぼ満員の盛況だったが、それ以上。

脚本・演出は大川良太郎座長。配役とあらすじは以下。

<配役>

中村主水      都若丸

錺職人 秀     大川良太郎

同心 渡辺     恋川純弥

三味線屋 勇次   葵好太郎

大黒屋       杉九州男

悪与力       金沢伸吾

 

<あらすじ> 

眼の悪い妹(かおり)を抱えた若い職人(たくや)が、悪与力と大黒屋の殺しの現場をみてしまう。その職人には口封じとして五両を与える。その後、悪与力は殺しの後に通りかかった錺職人、秀に殺人の濡衣をきせ、捕えて拷問にかける。それをきいた若い職人は罪悪感に苛まれ、遂に奉行所に訴え出る。しかし彼の留守中、妹は大黒屋の手の者に、殺されてしまう。

 

 奉行所では悪与力が秀の「取り調べ」をしている。奉行は不在。残っている同心は「無能」な主水に「非協力的」な渡辺、それに男か女か判らない下っ端同心(純)のみ。この下っ端同心、オカシカッタ。彼らに秀を折檻するように命令しても、ぬらりくらりとはぐらかされるばかり。ここのところの若丸さんの絶妙の呼吸。会場中笑いが渦巻いていました。対する伸吾さんも上手かった。純弥さんも、大真面目な顔で悪与力を「おちょくる」感じが笑いを誘っていました。意外。加えて、良太郎さんを「オトコマエ」ネタでいじっていました。若丸、純弥ともにアドリブ連発の場。これこそがこの芝居の「見せ場」だったのでは。話そのものはありきたりですから。

 

しびれを切らした悪与力、秀を牢に閉じ込める。そこへ件の職人がやって来て、自分こそが殺人の下手人だと名乗り出る。悪与力は彼を斬り捨て、同心たちには職人が自分に刃向かってきたので斬ったと言い繕い、奥へ引っ込む。主水と渡辺は断末魔の息の中の職人から、真実を聴き出し、復讐のためにと差し出された五両を受け取る。

 後はお決まりの結末。復讐を請け負った「仕事人」たち、殺された職人の代理人として、それぞれの「特技」で悪与力と大黒屋に復讐を遂げる。

舞踊ショーは良太郎さんとゲストがそれぞれ立ち、女形のソロを一曲づつ。以下、印象に残っているもの。

若丸 立ち 「翼をください

 彼の踊りはいつも意表を突かれる斬新さ。曲の内容を渾身の力でもってなん とか具現化しようとする強い意思を感じる。

 

良太郎 立ち 「人生劇場」

 良太郎さん、普段より動きをコントロールしていた。エネルギーを内に収斂させ、そして、最後の決めに。

 

好太郎 女形 「雪の華

 美嘉ちゃんの曲。それだけで十分。

 

純弥 立ち 「淡雪の恋」

 烏帽子、狩衣、直垂の出立ち。決めるのが難しい衣裳だが、彼の場合は「衣裳負け」せず、すっきりと納まっていた。 

 

純弥 with 良太郎 立ち 「古城」

 二人ともに袴姿に扇を持って。イキもぴったり。

 

ブラジル音頭  ゲスト全員で

 純弥さん以外のゲストはみんな良太郎さんの衣裳を借りて(だったよう)。純弥さんの「ブラジル音頭」、ホントに久しぶり。観れてシアワセ!純弥さん十八番。着物も「ブラジル音頭」のときのいつものもの。

そもそもちょっと前までは若丸、純弥、良太郎の組み合わせが実現するなんて、誰も想像しなかっただろう。それくらい画期的。期待もマックス。その期待に十二分に応えた公演だった。最後は満員の観客総立ちでアンコール。