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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『ご存知一心太助—天下の一大事—』たつみ演劇BOX @京橋羅い舞座2014年9月1日初日昼の部

中村錦之助(後の萬屋錦之助)主演の映画版を舞台版にしたもの。

築地魚河岸の名物男、一心太助。天下のご意見番、大久保彦左衛門に意見したことで、手打ちにあうどころかその心意気に惚れ込んだ彦左衛門に何かと取り立てられることになる。そのとき右腕に「命」、左腕に「一心如鏡」の刺青をした。彼は新門辰五郎とか幡随院長兵衛と並ぶ江戸町民が好むイキな男の典型なんでしょうね。実在のモデルがいたとか。一心太助と家光との二役をたつみさんが演じられました。上方男のたつみさん、でも江戸前の気風のよい男、太助をみごとに演じられました。

以下、映画のサイトからの引用をプロセスしたあらすじ。

元和九年の元旦。江戸城で祝宴が催される中、お世継ぎに決まっている家光が毒殺されかけるという大事件が起きた。それは、家光の弟、忠長を溺愛する北の方(お江の方、この人は家光の母でもある)と本多上野介(宝)らの企みだった。そこで大久保彦左衛門(小龍)がある案を思いつく。それは家光に瓜二つの太助と家光を入れ替えるという案だった。

二人は入れ替わったものの、互いに「挙動不審」と思われ、それを取り繕うのが大変である。ここが最大の見せ場。城中での振る舞い方を教わったものの、なかなかそれが身につかない太助。いろんな失敗の連続。それが笑わせます。履いたことのない長袴。扱いかねて最後には裾をからげて歩く始末。爆笑でした。何を聞かれても「よきにはからえ」で、場違いにそれを連発するのにも爆笑でした。

一方、家光も魚屋を演じるのは到底無理。女房お仲(ルビー)も魚河岸仲間、それに長屋連中も「太助の気がふれてしまった」と思い込み、嘆き悲しむ。お仲はお百度参りまでしている。

文盲に近い太助では城中での行事が務まらないので、一旦はそれぞれの場所に戻るのだが、また入れ替わる。このあたりの入れ替わりにつぐ入れ替わりのつじつま合わせをするには、かなりの時間が必要なんですが、そこを上手にまとめておられて感心。

忠長は兄家光と仲良くしたいのだが、それは母に背くことになり、苦しんでいた。家光暗殺の謀略が着々と進んでいることを知り、いてもたってもいられず家光と対面する機会を捉えて、偽家光の太助に心情を打ち明ける。一方太助に化けた家光の方も幼い頃弟と仲良くしていたことを思いだし、城にもどり話し合う決心をする。

 

最後は太助、家光、彦左衛門派と上野介派との立ち回り。ここでの太助/家光との早替わりも見せ場のひとつ。そういえば先日みた歌舞伎の『怪談乳房榎』でも早替わりが見せ場になっていたっけ。映画なら簡単でも舞台でそれをするとなると実に大変。とくにこの京橋劇場はだだっ広いので、客席を使ったそれはすごい重労働だったはず。

ちょっとしたハプニングはあったものの、なんとかこの数回に渡る早替わりをやり遂げて、たつみさん満足そう。

飛び込みだったので、かなり後ろの席。写真を撮ろうとしたけど失敗。第三部舞踊ショーのめぼしいものが以下。

ダイヤ  「いちばん綺麗な私を」

愛  「河内のあばれ花」?

相舞踊  ダイヤ(女)、たつみ(立ち)で「女 春雨破れ傘」

宝   「男の人生」

小龍  「元禄港歌 」、 「かもめが翔んだ日

瞳太郎  「 乱れ花」

たつみ  「酒の川」
首に巻いておられたのは笑三郎さんからの誕生日プレゼントの手ぬぐい。

京香  「人生しみじみ」

ラスト舞踊  「晴れ舞台」

 

 立ち上がってノリノリかと思いきや、そんな気配なし。一人だけ立つのもどうかと私も座ったまま。せっかくの曲なのに。