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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『鼠小僧と白鷺銀次』たつみ演劇BOX@京橋羅い舞座 2014年9月25日夜の部

お芝居は『鼠小僧と白鷺銀次』で、予定表にリストされていた『武士道残酷物語』を変更しての喜劇だった。たつみ座長の口上では、重い芝居が続いているので、「お笑い系」に差し替えたとのことだった。

この『鼠小僧と白鷺銀次』、2009年2月に朝日劇場に乗った黒潮劇団で観ている。それが私が大衆演劇に出会った最初、いわば私にとってのイニシエーションだったことになる。そしてそのときのゲストがたつみ、ダイヤのご兄弟だった。もしこのお二人がゲストでなかったら、大衆演劇を観るのはそれきりになった可能性が高い。そのときはお芝居には出られなかったものの(ご自分の劇団でないのにもかかわらず)口上がたつみさんだった。「綺麗な役者さんだナ」と「ユーモアのセンス抜群」と感心した。その翌月の3月、明生座に乗った「たつみ演劇BOX」を観に行ったのが、まさに大衆演劇を本格的にみるきっかけになった。だから『鼠小僧と白鷺銀次』にはなにか強い縁を感じてしまう。

本家たつみ版『鼠小僧と白鷺銀次』、構成といい人物の組み方といい、文句なしに「古典」の域、瑕疵がない。まさにたつみさんの面目躍如、登場している間はずっと笑いっぱなしの超オモシロ芝居、ほとんど「一人芝居」に近い「活躍ぶり」。昨日はいつものオカシサが何倍かになっていた。弾丸たつみトークに加えて、そこに(この前観た折にはなかった)歌舞伎調節回しの立て板に水の台詞、そして見得が「伴奏」として入る。よくまあ、ここまでの機転がきくものだと、唖然、呆然。思いっきり笑えた!おかげですっきり。でもご本人は大変だったんでしょうね。

とはいうものの、暴走を楽しんでおられるようにも見受けられた。この前に観たときよりも過激で、銀次役のダイヤさんはお手上げ状態。愛さんもいつもにも増して困った様子。瞳太郎さんも宝さんも笑いを必死でこらえている様子。笑えた。

ここまで気合いをいれたお芝居、舞踊ショーを見られるのは観客にとってはうれしいことだけど、両座長ともに体調が万全でない様子が気がかり。来月の新開地劇場が成功して欲しいと願っているので、とくにそう思う。そういや2010年7月と2012年9月の新開地劇場公演はそれぞれ20回程度は通った。観客動員が予想した程でなかったのが納得行かなかった。「神戸の人ってセンス悪い」とがっかりした。私も神戸っ子ですけどね。大阪がセンス良いとは思わないけど、芝居好きが多いような気がする。神戸の(特にあの地域の)観客はもっと「田舎っぽい」のかもしれない。オシャレ度の高い芝居はピンとこないのかもしれない。だからこそ、なんとしても来月、観客の彼(女)に新しいディメンションを拓いてあげて下さい。