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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『お祭り提灯』劇団花吹雪@新開地劇場2010年11月23日夜の部

西宮芸術文化センターでの『四季』演奏会の後、花吹雪さんの公演を観に新開地まで行きました。風邪気味で風邪薬を飲んだもののけだるくてどうしようと迷ったのですが、やっぱり行ってよかったです。お芝居は喜劇、『お祭り提灯』で、思いっきり笑ってすっきりして帰ってきました。でも今も少し熱っぽいのですが。筋は以下です。

金貸しで長屋の大家(寿美英二さん)が長屋の住人の老婆(かおりさん!)を「貸した金を返せ」といじめているところを、提灯屋の主人(春之丞さん)が見るに見かねて止めに入ります。そこへ祭りの世話人(愛之介さんと松ノ介さん)が祭りへの寄付金を集金にやって来ます。春之丞さんは応じますが、けちな大家は寄付をしぶります。世話人が帰ってからも大家はなんだかんだと春之丞さんにからみます。

このときの二人の掛け合いが楽屋落ちネタで笑えます。前日の22日には「寿美英二座長引退公演」を済ませたばかりの寿美さんが嘆いていわく、「もう少し楽をさせてもらえると思ったのに、今日は悪役、しかも台詞も一番多い役。ああ、(伍代)孝雄が羨ましい。子供なんてもつものではない。借金もまだ返せていない」。なんとなく裏の台所事情が伺えて、おかしかったのですが、でも同意できませんでした。春之丞さんのように優れた息子さんを持たれて、寿美さん、本当にラッキーですから。もちろんこれをご承知の「息子自慢」だったのでしょう。

脱線しましたが、筋の方に戻ります。春之丞さん、祭りの世話人が財布を落として行ったのに気づきます。25両も入った財布でしたので、落とし主がとりに来るまで売り物の提灯のひとつに財布を隠します。女房(真之輔さん)がお金をみて「遊ぶ金を持っている」と誤解」しないようにするためです。それと自分自身の悪心が起きないようにするためでもあります。この様子を例の大家がこっそりと覗き見をしていたのです。

そこへ女房が食事をとるようにと言いに来ます。春之丞さんしぶりますが、仕方なく奥へ引っ込み、女房が代わりに店番をします。

春之丞さんが提灯のひとつに気をとられていたことを気づいていた女房はその中を確かめて、隠してあった財布を見つけます。てっきり夫が遊ぶ金を隠していたのだと誤解した女房はその財布をまた別の提灯の中に隠し、もとの提灯には木鎚を入れて奥へ引っ込みます。

そうこうするうち大家がやってきて、春之丞さんが財布をいれておいた提灯を、中に財布の代わりに木鎚がはいているとも知らず店番をしていた女中から買って行きます。

そこへ注文しておいた提灯をひきとりに客がやってきて、布に包まれた財布が入った提灯を手にとってそれをごみだと勘違いし、財布を近くにあった店のゴミ箱の中に投げ入れて帰ってゆきます。

ついに財布の落とし主の祭りの世話役が財布を取り戻しにやってきます。春之丞さん、びっくり仰天、すでに当の提灯はありません。女中からそれを大家が買い取ったと聞くと、大家を追いかけます。

後はちょっと面倒なので続けませんが、要約すると、取り違えからくるすったもんだの「追跡劇」の末に、大家は5両損をし、財布は無事に落とし主の手に戻ります。

真之輔さんの女房役、とても板についていました。やきもち焼きのおかみさんをまるで本物のように演じておられました。真之輔さんが女役、春之丞さんがその旦那という組み合わせ、初めてみましたがとてもリアルで、それでいておかしさ全開でした。春之丞さんもお人よしの旦那役をそつなくこなしておられました。

この日の儲け役は店の丁稚役の京之介さんでした。可愛いアホの役を憎らしく演じておられました。

体調が悪いので3部は観ないで帰りました。残念でした。