『踏切番』劇団花吹雪＠一心寺シアター 12月22日夜の部

お芝居は11月の新開地で観た『踏切番』でしたので、筋は省略します。

アドリブ部分、とくに真之輔さんを春之丞さんが『切られ与三郎』の中の台詞を使って「特訓」するところが前観たときと少し変わっていました。今度のほうがおかしさ倍増でした。真之輔さんが「なぐりこみ」に行った社長宅で、与三のきめ台詞を外すところ、抜群の巧さでした。間違えた台詞に、「おっと、・・・ではなかった、・・・・」といいながら、与三の元のオーセンティックな台詞をかぶせるのですが、笑い転げました。

その他にも、ハプニングをアドリブの笑いにしての二人の掛け合い、絶妙でした。

ソロ舞踊はみなさん一曲づつでした。今回、真之輔さんの「田原坂」を初めてみたのですが、その足さばきの軽やかさ、美しさは感動的でした。他劇団の上手な踊り手さんがもっと重々しく踊られるのは何度もみたことがあります。それはそれなりに古典的な様式美を表現していてステキなのですが、真之輔さんのはそれらとは違いました。彼の個性がしっかりと打ち出された、それでいて基本はきちっと押さえた若々しくも凛々しい踊りでした。

春之丞さんの「ドンパン節」（群舞です）は本当に息を呑むほどのあでやかさ、かわいさでした。なんともいえない愛嬌は春之丞さんの十八番ですね。手、体、足、すべてが女性以上に女性らしく、その動きから目が離せません。そして客へのサービス、心遣い、完璧でした！この劇場の急な階段通路を何度上り下りされたことか！「春ちゃん」のかけ声にひとつひとつ笑顔で応えられながら。お客さんたち、ボーとなっている人もいれば、ここぞとばかりに春之丞さんにタッチする人もいて、にぎやかさマックスでした。

これが三公演中最後だったのですが、もちろん超満員でした。おそらく三公演ともそうだったのでしょう。

最後はアンコールまでされて、観客は大満足でした。

今までに数回大衆演劇の劇団に引っ張っていったことのある友人と一緒だったのですが、今まで日本一といわれる劇団でも褒めなかった彼女が、「ステキな劇団」と言ってくれました。嬉しい！春之丞さんはとてもおきれいで、真之輔さんはとても才能があるとお墨付きをくれました。

お二人のみならず、若手の方々が粒ぞろいです。愛之介さん、梁太郎さん、恵介さん、松ノ介さん、みなさんお上手ですし、色気もたっぷりです。それでいて清潔な感じがします。カラーが一緒なのですね。