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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『日朝河原の決闘』都若丸劇団@新開地劇場 4月1日初日

本拠地の新開地での1年ぶりの公演。私にとっても(1月の恋川純さんの公演に若丸さんが「飛び入り」出演したのを観たのを除けば)1年ぶりの新開地劇場。15分前に着いたら、もう満員。補助席だった。新開地の補助席は普通の椅子を出してくれるので、とても見やすい。

舞踊ショーの照明がとにかく今までにみたことのないほどの凝り方で、圧巻だった。宝塚のレビューを超えていた。歌舞伎舞踊はもともと照明には凝らないので、比較対照はできないけど。

お芝居は『日朝河原の決闘』。初めてのお芝居だった。

 第一場

二人の若いやくざ(星矢、舞斗)が博打に負けたことを愚痴っている。カモを捕まえようという悪い相談。そこに若い女性の二人連れ(京香、雪香)が通りかかる。さっそく絡む二人。それを制止したのは、浪人姿の武家(若丸)。彼は通称「呑兵衛の安」といって、土地の親分、仏の吉兵衛の用心棒をしている。礼を云い、お礼がしたいという娘達に、「うまい酒と上等の寿司はもってこなくていいから」と答える安兵衛。ついでに、「八軒長屋の安」と名乗る。 

第二場

貸元の仏の吉兵衛(剛)が安を親元に帰るよう説得している。安は実は旗本の子息、安之助だった。親元へは帰らないという安。実家には父の後添えの継母がいて、その母には連れ子があるので、それに家督を譲るつもりなのだ。

第三場

吉兵衛と対立する閻魔の親分(あきら)が登場。吉兵衛に子分が安に怪我をさせられたその報復に、決闘をするという。吉兵衛に単独で日朝河原に来るように云う閻魔の親分。承知して帰って行く吉兵衛。だが閻魔は子分を連れて行くつもりだった。

第四場

安の留守宅。老婆のおかん(城太郎)が留守を守っている。そこへにぎやかで元気のよい女中のお竹(ゆかり)が寿司と酒の出前を届けに来る。

寿司をみてどうしても食べたくなったおかん。四つばかりつまみ食いしてしまう。ついでに酒も半分方呑んでしまう。ここのところの城太郎さんの演技、さすが。

そこへ吉兵衛帰宅。ずぶぬれなので、着物を着替える。あいにく女ものの赤い着物しかないので、それを着込む。そして、寿司をつまみ、酒を呑むが、寿司の数が少なく、また酒も半分しか入っていないことを、不審がる。「おおかた、猫が呑んだんでしょう」と答えるおかん。二人で口を揃えて、「これぞホントのネコババ」。

疲れたといってその場で寝てしまう吉兵衛。そこへ吉兵衛が訪ねてくる。安が寝ていて話ができないのをみて、彼への手紙を自宅へもどり取って来ると云う。少しして、吉兵衛が戻る。手にもった手紙を安の頭にくくりつける。今から旅に出るという吉兵衛を不審がって、「どちらへ?」と聞くおかん。「遠いところ」と答える吉兵衛。いつ戻るかと聞かれて、「来年の新盆」と答える吉兵衛。死を覚悟しているのだ。そのまま決闘へとでかける吉兵衛。

目を醒した安。手紙に気づく。このところの若丸さんの演技、芸が細かくこれまた絶品。内容(実家に帰るよう諭していた。と同時に決闘に行く旨も書いていた)を読んで、どんな様子だったのかをおかんに聞き糺す。「そういや、いつもと違っていた」と答えるおかん。「しまった」と吉兵衛の本心に気づいた安。

「そなたの役に立つ」といって、飛び出す安。

第五場

吉兵衛は閻魔一家のだまし討ちにあい、最期を遂げる。そこへ駆けつけて来た安。二刀流でバッタバッタと斬りすて、最後は閻魔親分をみごとに討ち取る。ここの二刀流、カッコ良かった。