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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『ヤクザばか』劇団花吹雪@新開地劇場2010年11月26日

お芝居は『ヤクザばか』でした。

兄弟の契りをした二人のヤクザ(兄貴分が愛之介さん、弟分が真之輔さん)。弟分が好いた女性と一緒になって堅気になりたい打ち明けます。その直後に兄貴分が襲われたところを、弟分がつぶてを投げて助けます。それを感謝しつつ、兄貴分は弟分を快く送り出します。そのとき、互いのドスを交換します。弟分は二度とドスは手にしないと約束をして、別れてゆきます。

1年後、堅気になって妻(かおりさん)と二人の間にできた赤ん坊と暮らしている弟分ですが、土地の親分から対抗する別の親分の首をはねて来るように頼まれます。何度も断りますが、「恩を仇で返すのか」と迫られます。というのも行き倒れになっている二人を助けたのがその親分だったからです。

仕方なく依頼を果たすべく出かける弟分。悪い親分(京之介さん)は留守の間に妻に言い寄り、聞き入れられないと妻を手にかけてしまいます。依頼も自身の横恋慕をかなえさせるためだったのです。

対抗する親分の首を持ち帰った弟分は妻が死んでいるのをみて嘆き悲しみます。そして妻が手にしていた煙草入れから下手人が親分であることに気付きます。

首を約束の場所に持っていった弟分はその場で親分を切り捨てます。ところがそこへ首を取った親分の息子(春之丞さん)が手下とやってきて親の仇といって弟分に一騎打ちを挑みます。それに感じ入った弟分は自分を殺すようにといいますが、親分の息子は一つの提案をします。自分のところの客人と勝負をするようにというのです。

ところがその客人とは別れた兄貴分だったのです。驚く二人。兄貴分は刀を交換して元の刀で勝負しようといいいます。二人は勝負しますが、弟分の刀を自分の腹に当てて兄貴分は死んでゆきます。親分の息子も「敵討ち」は忘れるといいます。

 普段は春之丞さんが愛之介さんが演じられた兄貴分を演じておられたのですが、今回は愛之介さんへと譲られています。こいういところ、劇団花吹雪さんの若手を伸ばしてゆくという姿勢が窺えます。愛之介さんもそれに応えられ、見事に役を演じておられました。観るたびに感心します。

真之輔さんもパーフェクトな演技です。ヤクザのときと百姓のときをきちんと演じ分けられていました。お若い(21歳)ですが他劇団の同年齢の座長たちよりも演技力で頭ひとつ抜いておられると思います。これからも伸びてゆかれることは間違いのない、楽しみな役者さんです。

春之丞さん、3日前のお芝居で転倒し。そのときに肋骨にひびが入ったかもしれないとおっしゃっていました。だから主役を愛之介さんに譲られたのでしょうか。心配です。そういう事態でも演技したり、踊ったりしなくてはならないのですね。ほんとうに頭が下がります。無事に新開地公演を終えられるよう、祈るような気持ちです。

大入り、ほぼ40枚近く行ったのではないでしょうか。初代(大夫元?私がこの劇団を初めて朝日で観たときに親切にしていただいたあの方でしょうか)もとても喜んでおられるとのことでした。この夜も観客数は多くて、もちろん大入りでした。

第3部のショー、前から2列目の席を確保できたので、iPhoneでもいつもよりは比較的マシに撮れました。

男性陣全員の踊りだったミニショーラストで、みなさんが舞台前面に並ばれて幕が閉まったのですが、そのとき春之丞さんからあふれるエネルギー、みなぎる気迫を感じました。さすが座長!

以下、舞踊ショーの写真の一部です。

 

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「役者」というテーマでの春之丞さん、真之輔さんの相舞踊。

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春之丞さんのアンドロジナスな立ち。鬘、着物(サーモンピンクでした)そして表情があまりにもキマッテいます。

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黒い着物で。

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真之輔さん、ガウンを脱ぐとまさにカブキもの!