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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『船場のぼんち』in「たつみ演劇 BOX 」@新開地劇場公演 6月5日

<お芝居:『船場のぼんち』>

ダイヤさん主演の人情喜劇。主演のダイヤさんの台詞回しから、松竹新喜劇藤山寛美主演の喜劇を小泉版にしたものだろうと判る。初見。tokijiroさんのブログが検索にあがってきた。藤山寛美の『大阪ぎらい物語』がもとになっているとのこと。

舞台は船場の老舗綿問屋「河内屋」。ストーリーはこの店の次男坊、栄次郎(ダイヤ)の女中お八重(「追い出された」ということで登場せず)への恋と、それをなんとか阻もうとする母親(龍子)、叔父(小龍)との駆け引きを軸に展開する。気の弱い長男(とはいえ、どうしても目立ってしまう)をたつみさん、女中をなんと愛飢男さん。「十八番」の絡みが可笑しかった。脇として、兄嫁(みつき)、兄弟の異母妹のお美津(わたる)、兄弟の乳母(花)、番頭(宝)、大工(ライト)。

老舗で、というか一般社会、家庭でもありがちな新旧世代間の価値観の違い、ずれがテーマになっていて、一方的にどちらかがダメという風にではなく、背後にある人の情を喚起することで、折り合いをつけてゆくというオチになる。それがなんとも上方喜劇らしい。

ダイヤさんは役に素直にピタリとハマっていて、まさに「ニン」。やりすぎない加減が絶妙だった。この役、たつみさんが演ったら、きっと奇抜お笑い劇になっていただろう。あの『明治一代女』の秀吉姐さんのように。そういえば今日(6月8日)のお芝居は『明治一代女』。

ダイヤさんの台詞回しは完璧で、おそらくアドリブも多く入っていただろうに、それらに違和感ゼロだった。この方、パーフェクトぶりがすごいです。役柄と同じ次男坊で常に「にーちゃん」の後ろに控えめにいるようでいて、その完成度の高さでいやでも目立つ。たつみさんもその完成度の高さで際立っているけれど、それとはタチ(質)の違ったもの。兄弟揃って役者としての「極み」を魅せてくれる。

人物の衣装もそれぞれの役柄に合ったもので、時代考証的に瑕疵がなく、旅芝居の老舗四代目の矜持を見せてくれる。「祖父様の代からの芝居を亡き父(小泉のぼるさん)がアーカイブにしている」と、ずっと以前にたつみさんが口上でおっしゃっておられたけれど、それを確認することができる。加えて、小龍さんが歌舞伎版芝居を大衆演劇に合うよう書き換えたものがそれに追加されてゆく。それが「たつみ演劇BOX」の圧倒的強さである。

この日はダイヤさんが口上をされ、今後の演目やゲストについて発表された。以下である。

6/6   「明暗一代男」 たつみ主役

6/7   「明治一代女」 小龍主役

6/8   ライトデー 「石松の最期」

6/9  「仙太郎纏」 

6/13ロング 「中村仲蔵」 座KANSAIから6名のゲスト  

6/25 「高橋お伝」 小竜主役

6/19 「赤垣源蔵徳利の別れ」 ダイヤ主演

6/22 たつみデー  昼 「一心太助」 夜 「人生劇場」

6/23 ダイヤデー  昼 「不知火検校」 夜 「清水港に来た男」(コメディ?)

ゲスト

18日津川鵣汀

18日~24日綺良崎蝶二

22日~26日三河家諒

<舞踊ショー>

最後に舞踊ショーの一部をアップしておく。曲題に誤りあればご容赦。ピンボケ気味なのもご容赦。感じだけでも。

たつみ 桜屋


ダイヤ 不死鳥 立ち。うまく撮れず。

 

たつみ・ダイヤ相舞踊 おしどり

 

ライト  ひとり咲き


小龍 天上の花

 

ダイヤ ブッダのように私は死んだ


たつみ ジュピター 


ライト 箱根八里の半次郎 


ダイヤ 群舞北の夜明け 


たつみ 浪曲一代男 

 

ダイヤ 夜明けのブルース  

花の慶次 ラスト 派手派手の傾奇者衣装で。うまく撮れず。