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大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『二人の風来坊』都剛劇団@羅い舞座御所 9月26日昼の部

若丸座長が9月一ヶ月不在。その間は剛副座長が座長、星矢花形が副座長、そして舞斗さんが花形に「昇格」。ということで、お芝居の内容は以前にみたときとほぼ同じでも、配役を変えての舞台だった。楽しかった。大まかな筋は以下。

 

御嶽の親分(キャプテン)は土地の顔役の若旦那、実はバカ息子(舞斗)の機嫌を取り結ぶため、彼が目をつけた茶店の娘(ゆきか)を連れ出そうとする。茶店はその娘と姉娘(京香)二人が細々とやっていたのだが、それを始めるのに親分から三両借りていた。それが今では利子がつき、三十両という法外な値になっていて、それが返せないなら、その形に妹娘を連れて行くというのだ。

 

そこへ通りかかった一人のいなせな女渡世人、流れ星のお銀(ゆかり)。親分一味を追い払う。実はその渡世人、以前に料亭を営んでいた娘たちの親に助けられたことがあった。三人は再会を喜び合う。

 

怒りの収まらない親分。なんとか報復しようと考える。そこで一家に寄宿しているしぐれの半二という渡世人にその役をさせることにする。ここでの半二と親分のやりとりがケッサクでした。若丸DNA(?!)がしっかりと伝わっいるのが、よく分かりました。

 

前金として十三両を親分からせしめた半二。実はそのままドロンする心づもり。でも一応どんな渡世人なのかを確認することに。そこへお銀がやってくる。そのタイミング良さに剛さん一言。「さすが、芝居だね」。こういうの、若丸DNAなんですよね。顔を合わせた二人。顔見知りだった。お銀のきっぷのよさに惚れ込んでいた半二は、お銀と兄弟分になりたいとずっと追いかけていたのだった。お銀から実際の事情を聴き、怒る半二。お銀から「まさか、金はもらっていないだろうね」といわれて否定するが、結局は白状する羽目に。ここでのゆかりさん、剛さんやりとりもゼツミョウ。

 

お銀の提案で親分を虚仮にし、そしてさらに金を巻き上げることを画策。親分とその一味、そして若旦那が待ち受けているところに乗り込む半二。このときのこの若旦那の珍妙な格好が抱腹絶倒もの。この役、いつもは剛さんがやっていたもの。芝居のあとで、「(舞斗さんの)あの姿をみたら、二度とできません」と剛さん。半二は後金として親分からさらに金を巻き上げ、縄をかけたお銀を連れてくる。

 

手に縄をかけられ座っているお銀。半二はその前にドスを置く。このとき、二人の「やりとり」をみていた親分、「お前たち、知り合いじゃないのか。やけに親しそうだ」。この親分と半二のかけあいもケッサクだった。縄はゆるめに掛けてあったので、お銀は前のドスを手にとり、半二と二人で親分一味を斬り捨てる。

 

この場にやってきた娘二人が感謝する。その二人にお銀は、半二が親分からせしめた三十両余りの小判を渡す。その金が惜しくてたまらない半二。でもお銀から「姉妹に渡さないと私の兄弟分にしない」と言われているので、渋々である。半二が姉妹に綿々とそれを恩にきせている間に、お銀はその場を去っている。またもやお銀に逃げられたことを知った半二。一声、「めったに逃がしはしねえ!」、あわててお銀の後を追う。この逆転の発想が面白い。