okamehachimoku review

大衆演劇のお芝居ってどんなの?(独断・私見の)大衆演劇観劇ガイド

『地蔵の宇之吉』都若丸劇団@湯迫温泉 1月9日

またまたやってきました湯迫温泉。霙がちらつく寒い日だった。

お芝居は『地蔵の宇之吉』。若丸さんで宇之吉を観るのは初めて。そういえば大衆演劇はよくかかるこのお芝居も、観るのは二回目。若丸さんが宇之吉、剛さんが小金井小次郎役だった。有名な筋で、劇団によって細部が少しづつ違っているのかも。あらましは以下。

 旅をかけていた宇之吉、義侠心を起こして鳥追い女(ひかる)を土地のヤクザから助ける。道中、金をなくしたというその女のため、茶店でいあわせた旅人から金を巻き上げる。旅人から返杯された盃に蠅が入っていたと言いがかりをつけたのである。ただ、そのあとがいけなかった。名前を聞かれて、「小金井小次郎」と答えてしまったのだ。大前田英五郎にも清水の次郎長にもあったことがあるというその旅人に、他の名前を思いつかず、窮して小次郎の名を騙ってしまった。実はその旅人こそ、小金井小次郎その人だった。怒った小次郎はもし本当の小金井ならそのドスの銘をいえと迫る。そして自分こそがその小金井小次郎だと名乗る。

 

覚悟を決めた宇之吉。どうなり好きなようにしてくれといってもろ肌脱ぎになる。その腕に地蔵の彫り物が。それをみた茶店の女主人が(京香)、「さきほど目の見えない老女が地蔵の彫り物をした息子を探して旅をかけていた」と宇之吉に告げる。小次郎に、どうオトシマエをつけるのかと問われ、みずからの小指を切り落とす。さらにそこに土地のヤクザたち(星矢、英樹、舞斗、虎徹、雅輝)が、宇之吉に復讐しようとやってくる。小次郎、ヤクザたちに必ず戻ると言い残し、宇之吉は母のあとを追う。それを「みどころのある男だ」といって見送る小次郎。

 

母に逢う前に、待ち伏せしていたヤクザ一味の闇討ちに宇之吉は斃れる。小次郎が駆けつけるが、時すでに遅かった。鳥追い女が母を連れて来る。宇之吉は苦しい息の下から、鳥追い女に宇之吉の女房のふりをしてくれと頼む。そして親孝行のできなかった自分の代わりに母の面倒をみてくれと頼む。女が母の杖を引いて母を連れて行こうとしたとき、宇之吉が最後の息をふり絞って、「おっかぁー!」と叫ぶ。立ち止まる母。それを無理に鳥追い女が連れて行く。

 大衆演劇常套の「母もの」なのでしょうが、私はこういうのがちょっと苦手。『瞼の母』のようなひねりがないから。それに大体が「親孝行」という題材が教訓的で好きではない。「家族」というものにアレルギーがあるのかもしれない。親子というだけで理解し合え、愛し合えるというのは幻想に過ぎないと思っている。日本社会はそういう幻想で女(断じて男ではない)を縛り付けてきたのではないでしょうか。